コラムとエッセイ

先が見えないことに耐えて楽しむ能力「ネガティブ・ケイパビリティ」という考え方

多様性が叫ばれる現代、「正解」を見つけることが難しくなっているような気がしますが、そのおかげで考える機会も増えているのではないかとも思います。
「ポジティブに考えようぜ~」という価値観が多い中、それだけでは補えない「答えの出ない事がらに耐える」ための能力を【ネガティブ・ケイパビリティ】といいます。生きづらさをなるべく感じずに生活するためには、どのような考えを持っていくことが大事なのでしょうか。今回はそのことについて記事にまとめました。

こんな方におすすめの記事
  • どうしてもポジティブに考えることが出来ずに悩んでいる
  • ポジティブに考えようよ、という言葉にを感じてしまう
  • 前向きに、目標達成、自己肯定感などの言葉に嫌悪感がある
  • ポジティブとは違った価値観を知りたい
  • 何が正解で何が間違っているのかわからずに疲れてきた

ポジティブでいることの欠点

突然のっぴきならない事態が起きたとき、誰かに相談をしたり行動を起こすことで「すぐに解決しなければ」と思い行動をしたり誰かに相談をしたりする方は多いのではないでしょうか。もしくは、「どこから間違えていたのか」と犯人探しや事柄を考えて解決するための行動をとりませんか?

人間の脳は「問題を解決する」という能力が備わっているといいます。そして私たちは幼いころから問題解決能力、理解力を養うことを教えられ、その過程で知識を増やしてきました。これをポジティブ・ケイパビリティと言います。この考え方は自己肯定感を育てるために必要で、良いとされていてその他にもたくさんの効果をもたらしてくれます。しかし実は、この考え方にはデメリットも存在します。

デメリット

  • 柔軟性の欠如…不確実な状況に対応する柔軟性の低下、新しいアイデア・創造的な発想を阻害する可能性がある
  • ストレスの増加…曖昧さや不確実性に耐えられず、常に明確な答えを求めてしまうため、答えが出ない状況でストレスが高まる
  • 長期的視野の欠如…短期的な問題解決に注力するあまり、長期的な視点や戦略的思考が疎かになる可能性がある。また、目の前の課題にとらわれすぎて、より大きな機会を見逃す危険性がある。
  • その他…多様な視点や意見を受け入れにくくなる可能性がある

離婚前の私がまさにこの【デメリット】状態でした。絵にすると←こんな感じの無敵状態☆
子育て初期にこのことに気づけた私はたぶん運がいい。

こんな記事を見つけたので、参考までに。
「ポジティブ思考」を押し付けてくる人が気づいてないヤバすぎる問題点

ネガティブ・ケイパビリティという概念

私の例でいくと、【離婚】というものは成立するまでに何度も話し合いを繰返したり、ときには第三者を交えた話し合いが必要なため、答えが出るまで長期戦になる場合が多いと考えられます。そんな時に確実に助けになってくれるのが、「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念です。

ネガティブ・ケイパビリティとは、答えがすぐに出ない状況や、対処が困難な事態に耐える能力を指します。

具体的な考え方

  • 不確実性や曖昧さを受け入れる
  • 複雑な問題に直面しても、状況をじっくりと観察し考える
  • すぐに解決策を見つけようとせず耐える

19世紀初頭のイギリスの詩人ジョン・キーツ (John Keats) によって最初に提唱され、精神科医で作家の帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏が日本にその概念を広めました。著書もあるので、詳しく知りたい方はぜひこちらからどうぞ。

この考え方は、たまたま受講した心理学の講座で講師の方が話してくれて知りました。その先生の著書にはこう書かれています。

先の見えない状態でも我慢できる力を「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼ぶそうだ。「負の能力」などと訳される。私は「不思議や奇跡を信じる力」「苦労を当たり前だと思える力」としている。

技ありの人間関係 人生の景色 / 中島 俊介 著

ドラマなどで、はっきりとした結論を好み、曖昧でその後のことはご想像ください…的なエンディングを苦手とするタイプはこの考え方を知ることは有効なのかもしれません。(個人の感想です。

ネガティブ・ケイパビリティの育成方法
  1. 教養: 幅広い知識を身につけ、多角的な視点を養う
  2. 経験: 様々な経験をすることで、柔軟性を育む
  3. 客観的フィードバック: 自己認識を深め、改善点を把握する
  4. 瞑想・内省: 不確かなものに対しても対応できる
  5. 創造性: 自由な発想力を身に着ける

この考え方を知ることで、見ないように蓋をしていた問題の解決につながる可能性があります。

ポジティブとネガティブの関係性

ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティの特徴についてみましたが、どちらが良くて悪いということはありません。

大事なことは、どちらの考え方も知っていることです。そして足りない部分を補完しながらバランスよく考えていくことです。バランスの良い食事をしましょうね。みたいなイメージです。

それぞれのメリット

  • ポジティブ・ケイパビリティ: 目標達成、問題解決、肯定的思考
  • ネガティブ・ケイパビリティ: 不確実性や疑問を受け入れじっくり考える

まとめ

ネガティブ・ケイパビリティは、多様性が叫ばれる現代を乗越えるために有効な考え方ということが分かりました。私たちが元々持っているポジティブ・ケイパビリティの概念とともに、バランスを取りながらネガティブ・ケイパビリティも育成することで理解が深まったり、よりよい結果につながることが多くなります。

先の見えないものごとに対しても、焦らず「そういうものだ」と受け入れ、考え続ける中でいつか出る「答え」を考えながら待ちましょう。長期的にみることで、心の余裕が生まれ、自然と自分らしく生きていくことができるようになるような気がします。そうなってくると不思議なことに、ポジティブな自分と出会える気がしませんか?

ひとつの「考え方」として取り入れてみるのはどうでしょうか。