chapter1

2話 初節句。長い道のりの先にささやかな幸せ

これは0歳児を抱えてシングルマザーとなった私が、息子と2人で成長してきた物語。この物語が、同じように悩んでいるあなたの心を少しでも休ませるものとなりますように。連載の第2話♪

1話はコチラから♪

1話のあらすじ】
妊娠初期に「子どもをおろして別れたい」と言われながらも、話合いを重ね再構築を目指して子どもを産んだ末、「やっぱり別れたい」と言われる。初節句の前日、里帰りをしていた実家から車で約7時間の長距離移動を経て家へ帰宅したものの「やっぱり帰って」と言われ、初節句当日に再び実家に戻ることになった。

無言の帰省。届かない声と怖くて話せない時間

初節句の5月5日。

前日に持ち帰ったベビーグッズを車に詰め込み、実家へ出発。

前日帰ってきた約7時間の道。車内は無言。

何を言っても私の声は届かない。意見を言うと自傷を始めるので、運転中は発言を控えた。

不思議なことに、夫には「自分が送る」という部分に強いこだわりがあり、それを断ると癇癪を起こす勢いだった。そのため、その意思をそのまま受け入れることにした。

おさとちゃ

正直このとき私は、子どもの心配や子どもへの配慮を第一に考えないといけなかったのに、誰よりも夫に対して気を遣ってた…。息子よごめん。

息子の限界と「伝わらない」想いと不安

私が実家に帰宅するのをためらったのは、約550kmの長距離移動だったこと。

新幹線も空港も遠く、車で移動しなければ大量の荷物を持って帰るには難しい場所に住んでいた。

そして、前日の移動で息子が何度か青ざめたことが一番気がかりだった。

そのことを夫と、私の母に伝えた。母は、そのこともあるから私と息子だけホテルを借りて過ごすことを提案してくれた。

ホテル滞在は夫的にNGで、ホテル滞在の話をすると、そこに誰も存在しないかのように無反応になった。

そして息子が青ざめたことに関して夫は

元夫

昨日も休みながら移動してたら普通に戻って大丈夫だった

と聞く耳を持たず、私の母にそれを言ったことに驚きを隠せなかった。

息子の負担を思うと、夫の無神経さに怒りと虚しさを覚えながら、諦めたような気持になった。

首が座ってない息子を、2日連続で長時間チャイルドシートに乗せて移動した。何度も「これでいいのか」と自分を責める気持ちでいっぱいだった。

お宮参りと初節句に対する夫の温度差

実家に着いたのは夕方ごろ。

迎えてくれた両親に、初めて「本当は初節句を楽しみにしていた」と打ち明けた。

夫には言えなかった。

お宮参りにこだわっていた彼が、初節句には無関心だったのは、義母の影響があった。

とにかく彼にとって私の意見は「無視」、義母の意見は「絶対」だった。

滞在時間10分弱。仕事を理由に去る夫

今後のことを両親と一緒に夫へ問いただしたが、明確な答えはなく10分足らずで仕事を理由に帰っていった。そのときのことは、あまり覚えていない。

ただ、息子が車内で顔色を悪くすることはなく、ずっとゴキゲンでいてくれたことが救いだった。

ささやかながら、あたたかな初節句

私が初節句を楽しみにしていたことを知った両親が、せめて何かそれらしきものはないか見に行ってみようとスーパーへ誘ってくれた。夕方ということもあり、節句用の商品が売り切れの中、こいのぼり柄の包装紙の巻き寿司が残っていた。

その後、いつの間にか姿が見えなくなった父が帰ってきて手にしていたものは、手持ちのこいのぼりだった。

「最後の一個だけちょうどあった!」とニコニコして言いながら、横になっている息子の頭上で振った。

子どもに、袴風のスタイをつけてこいのぼり柄の巻きずしを持たせて記念に写真を撮った。

両親と私の三人で、「見てる見てる♪かわいいね~♡」と言いながら「普通」の時間を久しぶりに過ごした。

それまで張っていた気が少し緩んで、「息子を大切に想う人が私以外にもいる」という事実に、ほっとするような安心感を得た。

このときの安心感が、「息子をひとりで育てていく」という現実にほんの少しだけ立ち向かう勇気をくれた。

長い移動の先に見つけたもの

ようやく芽生え始めた「覚悟」。

でもまだまだ子育てに集中して向き合うためにはやらないことがたくさんあった。

この先にはまだまだ越えるべき山の数々!

おさとちゃ

なぜ育児だけに集中させてくれないんだ!

となげきながら奮闘する日は始まったばかり。

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